嬬恋村
夏秋キャベツの出荷量日本一の産地、嬬恋村。冷涼な気候と浅間山の火山灰でできた土が高品質のキャベツを育てる。その恵み豊かな地を守り、次代へ引き継ごうと若い農家が奮闘している。子育て支援やイベントなどでPRし、若者の定住化促進に取り組んでいる。
村長 メッセージ
嬬恋村には、手つかずの自然を有する国有林がたくさん残されています。特に、青山国有林は村の中央部に位置し将来の発展に必要不可欠な土地です。
そうした中で、森林管理署は地方自治体が作成する地域の振興施策によっては国有地の払い下げを検討するとしています。
長年の懸案である、上信自動車道の一日も早い整備区間への格上げと、若者の雇用の場確保や少子化対策を推進するため青山国有林の活用計画を早期に立案し村の地域振興を図っていきたいと考えます。
- 子育て環境充実
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2016年度から、子育てしやすい環境をつくるために新規事業に加え、従来からの事業を充実させます。
- 幼稚園・小・中学校の給食費を無料。
- 小・中学校の教材購入費を補助。
- 中学生の英検受験料を年5000円まで補助。
- 保育園、幼稚園の保育料無料化。
- 1子、第2子へ祝い金5万円。
第3子は10万円。第4子以降は15万円を支給。
村の支えで 安心
農業の後継者不足は全国的に問題となっているが、村の本年度のまとめによると、新規就農者8人全員が実家のキャベツ農家を継ぐ若者だった。田代地区の松本優人さん(28)も次代を担う一人だ。
松本さんは後継者を目指し、大学では農業経営学を学んだ。大学卒業後に実家へ戻り、父の初雄さん(60)の下、後を継ぐ準備を進めていたが、初雄さんの急な病で急きょ畑を任されることになった。親戚や仲間の支えで徐々に栽培法を学び、4年前から、出荷する箱に生産者として自分の名前を入れている。
「箱に自分の名前が入った時、うれしさとともに責任感を感じた。消費者にいいキャベツを届けたいという思いが強くなった」
収穫期の7月から10月まで忙しい日が続く。復帰した初雄さんら家族と親戚6人ほどで、毎朝3時から10時まで休む暇なく作業する。今年3月に結婚した妻の綾子さん(30)も貴重な戦力だ。2年前にキャベツ収穫のアルバイトで松本家を訪れたのが出会いのきっかけ。11月下旬には待望の第1子が誕生する予定。「村が若い世代を支えてくれるので安心できる。先人が安定した品質を供給してきたので嬬恋のキャベツは市場でも評価されている。高品質を維持して次の世代に引き継ぎたい」と力を込める。
古民家再生で定住促進
夏の風物詩として定着した「つまごい祭り」が30日に開催される。2000発の打ち上げ花火や出店などを準備している嬬恋村商工会は、さまざまなイベントで村をPRしている。
キャンプ場で行われるイベントにも村の産品を集め出店。キャベツのおいしい食べ方を紹介するワークショップなども開いている。村と協力して、村内の古民家や別荘など、空き家をリフォームして定住者を呼び込む計画も検討している。
村商工会青年部長の干川彰紀さん(39)は「イベントにはアウトドア好きな若者や村外の人が多く訪れる。村の魅力を伝えて、定住化の促進につなげたい」と話している。