東京か群馬か。 それが問題だ。

ボードゲームを通して人生設計について考えるイベント「サイコロ振って未来を決めろ!」(群馬県高校生会議主催)が3月31日、前橋市の前橋プラザ元気21で開かれた。中学生や高校生28人が参加し、県内での進学・就職、東京都内への進学・就職などを比較しながら将来の生き方を考えるきっかけづくりを楽しんだ。

サイコロ振って考えた

中高生がボードゲーム

イベントは、県内の若年層の人口流出課題に着目し、中高生に県内就労を促すことを目的に開催された。高校生会議の小高広大代表は主催者あいさつで「高校卒業者のうち県内にとどまるのは4割。半分以上が県外に流出してしまう。ボードゲームを通して、群馬、東京で暮らすことを考えるきっかけにしてほしい」と狙いを話した。

ボードゲームは高校卒業時をスタートに18歳~、22歳~、25歳~、35歳~、60歳~の五つのステージに分かれ、それぞれで群馬と東京暮らしが用意された。給与や賞与を受け取ったり、進学時や車・家の購入で借金を背負ったりしながら、負担(ストレス)や幸福(ハッピー)のポイントを加算しながら進めた。

参加者は「群馬で暮すなら車が必要。借金しないと」「東京の方がボーナスがいい」「東京行くなら車いらないよね」などと話しながらゲームを楽しんだ。結婚・子育ての時期を迎えると「今を逃すと結婚できないかも」「シングルマザーだと厳しい」と、将来直面するかもしれない現実を見据えての発言が目立った。ストレスやハッピー度では「東京での出産は近くに親がいないので不安」とストレスが加算されたりした。

サイコロを振って、出た目だけ進むボードゲーム。 資格を取得するスキルカードや、職業を選ぶ職業カードもあり、止まる場所ごとに選択を迫られる

昨年8月に高校生会議とともにイベントを開催した県議会の星野寛議長は見学に訪れ「中学生や高校生が群馬で暮らすメリットに気づくきっかけになれば。高校生会議がリード役となって若い人たちの意識を高めてほしい」とエールを送った。

ゴール時に所持金や仕事、家、子ども、ストレス・ハッピー度などをトータルで計算し、湯本莉世さん(共愛学園高2年)が優勝した。

ボードゲームに先立ち、NPO法人ブレインファームの天田亮介さんが基調講演を行った。

基調講演 「Uターンの実体験について」

NPO法人ブレインファーム理事長 天田 亮介さん 「複業」で豊かに生きる

中高生らに分かりやすいよう ユーモアたっぷりに話した天田さん

都内の大学を卒業した後、旧国営企業、ベンチャー企業、ソーシャルセクターといろいろな形の組織、働き方をしてきた。最初の企業で観光の仕事と出合い伸び伸び自由に仕事をすることができた。ところが異動先で、社員が次々に休んでいく実態に直面した。大きな組織で、心を病んでしまう人が多い。就職したら、そこでずっと働けると思うがそうではない。定年までに会社がつぶれてしまうこともある。メンタルの部分でもビジネスモデルの点からも一つの仕事しか持っていないことがリスクになる時代だ。

「二足のわらじ」という言葉がある。両立しない二つの仕事をやること。人口減少の中、一人が今まで通り一つの仕事だけをしていては今の社会が維持できなくなっている。今企業では、業務以外の仕事を禁じた「兼業禁止」を見直す動きが加速している。それどころか「専業禁止」を掲げる会社も増えている。複数の仕事をすること。「副業」でなく「複業」を考えることで、自身の人生も豊かになるし、リスクを減らすことができる。

生産年齢人口の減少、高齢化、中心市街地の衰退など人口減少により地域のキャッシュアウトが増える。地域や社会の仕組みを持続可能なものに変えていかなければならない時期を迎えている。そのためには価値を生み出す力「稼ぐ力」が重要。地域にとって一番もったいないキャッシュアウトは何かと言えば、18歳まで群馬で育てられた皆さんが、東京に行ってしまうこと。ぜひ東京で成長し、群馬に戻ってきて活躍してほしい。