ぐんま愛 ここに生きる 暮らしの魅力伝え

新しい発想が大事 宗村さん

切り口変えて発信 多胡さん

 多胡 僕の場合は驚きの連続だった。音楽業界ではビンテージの機材が良いとされる。しかしスタジオを準備する際、市のルールで備品は新品しか買えなかった。新品だけのスタジオをプロは使ってくれない。妥協できなかった。最終的に市長の判断でビンテージを購入可能にする条例をつくってくれた。準備に2年かかったが、行政とゼロから立ち上げるケースでは早い方だと思う。

 ―民間とのスピード感、進め方の違いについて、行政の立場としてどう感じるか。

 谷内田 行政というシステムで税金を使うからには、進め方は平等、公平になる。一方で、今は新しいことをしなければ回っていかない時代。5年、10年先、地域は激変する。地域経営の在り方を考えなければならない。未来の芽創造課は新しいことをする人を支えるのが役割。大事なのは民間の皆さんと行政にいる僕らが思いを共有することだ。

 ―四万温泉も地域の良さを見直し、挑戦を続けている。

 関 四万温泉の売りは第一に温泉、次に自然、そして人。四万のブランドづくりをみんなで考えている。温泉だけでなく、自然も楽しんでもらいたい。昨年、グランピングを楽しめる宿泊施設「Shima Blue」をオープンした。周囲からむちゃな挑戦と言われたが、まずは自分が手を挙げ、新たな風を吹かせたいと投資を決断した。若い人に続いてほしいし、大学生の娘が古里に戻ったとき、四万温泉は良い地域だと思ってもらいたい。

 ―人口減少時代を乗り越えるために必要なことは。

 谷内田 2100年に日本の人口は5千万人を切ると言われている。出生率の低い東京に若者が集まっているのが原因だ。若者が東京に行かない、もしくは地元に戻ってもらうことが対策になる。若者に定着してもらうためには、今までのモノやお金に過度に依存するのではない、暮らしの魅力をきちんと伝えていくことが重要だ。そして安定した雇用を増やすこと。前橋、群馬にはいい企業があることを知ってもらうことが大事だ。定着の促進のため、高校、大学と企業をつなげ、さまざまな施策を一体的に行える新しい組織をつくりたいと考えている。

多胡 若者を定着させることで言えば、僕らの若い頃はプロになるには東京に出るしかなかった。でもTAGO STUDIOがあることで、群馬にいながら大手会社と同じレベルのレコーディングをできるようになった。今では高崎に住みながらメジャーデビューを果たすミュージシャンも育っている。

 宗村 シンクトゥギャザーの従業員7人は50~60代が4人、40歳前後は3人。まずベテランの人材に入ってもらい、会社としての秩序をつくる狙いだった。そしてこれからは、会社の成長に向けて20代の人たちを採用していきたい。

―最後にメッセージがあれば。

 関 昨年11月から、クラウドファンディングで資金を集めライトアップ企画を成功させた。働く人、住んでいる人もみんなで協力し「さらにお客さんを呼ぶぞ」という気持ちになった。これからも交流人口を増やし、町も豊かになる、そんないい循環を生み出したい。

 多胡 「群馬にはいいものがたくさんある」とよく言われるが、それは大抵どこの県にもあるもの。でも、同じことでも切り口を変えて発信するとニュースになり、宣伝効果は何十倍にもなる。魅力をどうプロモーションするか。それが群馬を知ってもらう鍵になる。

◎意志 地方に反映して 「ふるさと納税の活用による可能性」 基調講演 トラストバンク社長 須永珠代さん ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」運営

 起業する際、会社は社会に貢献するためにあると考えた。きっかけは電化製品が故障した際、地元の販売店よりも安かったのでネット通販で買おうとしたところ、父が「地域にお金が落ちない」と反対された。

 消費者の立場でしか買い物をしていなかったが、地域や企業の視点を意識するようになった。父のような団塊世代の考え方を通して、疲弊する地方を元気にしたいと「ICT(情報通信技術)を通じて地域とシニアを元気にする」という目標を掲げた。

 地方では経営の四つの資源「人」「もの」「お金」「情報」がうまく回っていない。一方で日本はシニア世代を中心に多額の個人資産を抱えている。ふるさと納税ならば都市部に偏った「お金」を地方へ送り、返礼品として「もの」を都市へ還流できる。草津町や中之条町が贈っている感謝券といった宿泊券ならば「人」も呼ぶことができる。

 地方に最も足りないものは「情報」だ。起業した際、既に5年目を迎えていたふるさと納税があまり利用されていなかったのも情報不足が原因だと感じて「ふるさとチョイス」を立ち上げた。

 これからは政策や使い道に限定した寄付の集め方が増えてくるだろう。県が本年度から募集している動物愛護推進事業には多額の寄付が集まった。課題解決のための資金調達はふるさと納税の本来の姿だと思う。

 ふるさと納税によって多くの変化が生まれた。自治体間では広域連携が進んでいる。返礼品だけでなく、観光ツアーを一緒に企画するなどして、経済効果を高めている。事業者、生産者も地域内で競い合うのではなく、事業者連合会を立ち上げて協力する機運が高まった。さらに連合会を束ねる地域商社も増えている。

 ふるさと納税は商社の売り上げのほか、自治体に寄付されることで地域全体の利益につながるので、地域商社は生産性が悪くても丁寧な仕事をする小さな事業者まで束ねて、良いものを集めている。将来的に伸びるインバウンドや海外輸出に向けて地域の良い品を集める地域商社が増えたことは、ふるさと納税の功績だと思う。

 人口が増え、ふるさと納税の成功事例として挙げられる北海道上士幌町は、5年前から子育て支援と人口減対策として、ふるさと納税を活用してきた。目標に向かってマーケティングしてきたからこそ結果を出せた。

 人口減や高齢化などによって5年、10年先の社会は激変する。日本で何が起こるのか世界中が注目している。一人一人の意志が社会を変える力になる。自分の意志をふるさとに反映してほしい。

 すなが・たまよ 1973年、伊勢崎市(旧佐波東村)生まれ。2012年にトラストバンクを設立し、全国初のふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」を立ち上げた。「日経WOMAN ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016」で大賞を受賞。

◎就活備え企業研究 県内拠点の40社参加

「ぐんま就活準備フェア」では企業の採用担当者と交流し、企業研究に役立ててもらおうと「個別企業研究タイム」が開かれた。

 県内に本社や拠点を持つ40社が参加した。各企業は商品を並べたり、デジタル機器を活用して自社をPR。学生は、事前に決められた2社を回った後、希望の企業ブースを訪ねた。

 企業側の説明後、質問タイムが設けられ、学生たちは「他社にはない強みは何か」「多忙な会社だと思うが休みはきちんと取れるのか」「実際に働いてみて入社前との違いはあるか」などと、熱心に質問した。

 神奈川県内の大学に通う黛友紀さん(21)=下仁田町出身=は「県内での就職を考えているが不安も多い。どんな企業が向いているのか研究したい」と話していた。

 同フェアに続き、3月1日に75社が参加する「ぐんま就活フェア」を開催する。現在参加予約を受け付けている。

◎県内定住の魅力を紹介 特集紙面展示

 会場付近に、上毛新聞社が県内市町村、企業と取り組む「ぐんま愛 ここに生きる」キャンペーンで掲載した特集紙面のパネルが展示され、来場者が興味深そうに見入っていた。

 展示したのは昨年4月から今年2月中旬までに掲載した17市町村の紙面。移住定住者の紹介記事、市町村の定住促進事業などを、魅力を伝える写真とともに掲載した。

紙面は再編集し、特設サイト(http://www.gunmaai.jp)で公開している。