すばらしい人がいて 面白い場所

大蓮寺副住職、弁天通青年会長 蓮池 俊光
vol 3 蓮池 俊光 | Hasuike Shunko 大蓮寺副住職、弁天通青年会長


前橋市の中心街、弁天通りにある大蓮寺の生まれ。大学卒業後、群馬に戻ってきた理由は。

父が寺の住職を務めていますが、次男である私は何も考えずに仙台市の大学に進学しました。ふらふらしている私を見かねたのか、父から「(僧侶の)資格を取って戻ってこい」と言われ、2000年に帰ってきました。父は忙しく外出が多いので、寺にいてさまざまな仕事をサポートしています。

上毛新聞 2004年8月26日付
街中の話題を取り上げるブログ「しゅんこう日記」を始めたきっかけは。

大蓮寺の縁日に合わせ、弁天通りで毎月3日に開く「弁天ワッセ」が始まったのが2004年。これを機縁に若い人たちが集まり「弁天通青年会」を作り、商店街のウェブサイトも立ち上げました。この頃はまだ活動にかかわっていませんでした。

青年会のメンバーも自分の仕事が忙しくなり、2009年に弁天通青年会長を引き受けることになりました。みんなが街おこしに取り組んでいるのに、自分は何もしていないという引け目があったのだろうと思います。この時ウェブサイトの更新は止まったまま。そこで、更新しなくてもいい内容にする代わりに私を含む若手5人でブログを始めようと提案しました。しかしながら結局ブログの書き手は私だけになり、残ったのはしゅんこう日記だけになりました。

上毛新聞 2013年5月17日付
09年9月に始まったブログは、今でも毎日更新していますね。

自分でもここまで長く続くとは思っていませんでした。ブログを始めて1カ月の頃、たまたま通りかかったお店「バー カラフル」を取り上げたところ、とても喜んでくれて、それからいろんなお店やイベントに顔を出すきっかけになりました。寺の看板を背負いながら書くことに迷いもありましたが、街中に住んでいるからこそできること。あまり評価を気にせず「街の日常を映し出そう」という気持ちで続けています。

街中を見続けてきて、変化は感じますか。

街中が一番寂しかったのは、前橋駅前のイトーヨーカドーが撤退した2010年頃でしょうか。それから徐々に人通りが増え、2013年にアーツ前橋が開館すると、今まで来なかった若い人を見かけるようになりました。存在は大きいと感じています。しかし、空き店舗が埋まってはまた出て行く状況は続いています。もともと住んでいる人が、外から来た人を受け入れて一緒に街おこしをしていくことが大事だと思います。

群馬に住むことの面白味は。

外から来た人はたいてい「群馬はいい所」と言ってくれますが、特に前橋の人って地元の自慢をしないですよね。確かに、圧倒的な何かがあるわけではなく、1つ1つをまとめ上げて売り込むのは下手。でも、食べ物はおいしいしすばらしい人がいていろんなイベントがある。街に出て行かないのはもったいないです。ブログがここまで続いているのも、すばらしい人がいて面白い場所だからだと思います。