第3回 群馬で、 君たちはどう“働く”か クオリコ・キャリコ

[2018/11/09]
クオリコ・キャリコ 事業部代表の 小圷琢己さん
「どう働くか」は「どう生きるのか」と同じくらい、重要なテーマです。とはいえ、短期間の就職活動で得られる情報はごくわずか。入社した後、やりたいこととのミスマッチに悩む人も少なくありません。クオリコ・キャリコ事業部代表の小圷琢己さん(25)は、いわゆる就職活動以外で「できるだけ早い時期から若者が企業と出合う場が必要」と訴えています。
 「キャリコ」では、どのような活動をしていますか。
小圷

「キャリコ」は、人事担当者がずらりと並ぶ説明会ではなく、学生が気軽に社会人と交流できる飲み会やイベントを開催しています。運営会社はウェブサービスを手掛けるクオリコ(高崎市緑町、高橋要社長)で、自分は人材事業部の代表として活動しています。県内の中小企業の人事コンサルティングも行っています。

キャリコの活動を説明する小圷さん
「キャリコ」は高崎経済大在学中に立ち上げた学生団体が母体ですよね。企業と学生をつなぐ活動を始めたきっかけは。
小圷

実は「サッカーの指導者になる」という夢を抱いて大学受験に臨むも、第1志望に落ちてしまい(苦笑)。高崎経済大に入学した当初はかなり気落ちしていました。就職活動で挽回しようと意気込み、企業研究のために大学1年目から経営者と会うようになりました。

僕は茨城のサラリーマン家庭で育ったので、自営業や経営者の方と話すのはすごく新鮮で「こんな自由な働き方があるんだ」と気付かされました。でも、普通は学生と企業の経営者に接点なんてないですよね。両者が交流できる機会があればいい、と飲み会を企画したのが「キャリコ」の始まりでした。

小圷さんはなぜ、群馬で働こうと思ったのですか。
小圷

在学中は東京で就職するつもりで、都内でインターンシップをしていました。でも、都内にオフィスがある人材派遣のベンチャー企業に内定した2日後、今の会社の社長から「うちで働かない?」と誘いを受けて(笑)。先方には迷惑を掛けましたが、結局は都内で働く自分がイメージできなかったのだと思います。

体を壊して入院したことをきっかけに、自分の働き方や生き方を見つめ直した時期でもありました。満員電車で職場に通って、深夜まで働く。本当にそれが、楽しいのかなって。

採用する側とされる側の橋渡しをする中で、気づいたことはありますか。
小圷

企業は優秀な人材、つまり「できる人」を欲しがります。でも「できる人」の定義って、すごくあいまいです。「できる人」とは、つまり主体性がある人材ではないでしょうか。指示待ちではなく、自ら考えて動ける人は企業を発展させる上で欠かせない存在です。

ただ主体性のある学生はそう多くなく、いても都内に流失してしまうという問題があります。受け入れる企業側の文化も課題です。主体性がある若手を生かすには、会社側が若手を信頼して任せなくてはいけない。若手は会社側の信頼を得られるよう、結果を出さなくてはいけない。この循環がうまく回る組織が、若者にとって「いい会社」だと思います。

「働く」をテーマとしたトークイベントに出席した小圷さん(右)
人口減少を背景に、県内の多くの自治体が若者定住促進を掲げています。若者を群馬に呼び戻すためには、どうすべきでしょうか。
小圷

都内に進学、就職した人を群馬に呼び戻すのはすごく難しい。なぜなら群馬を出たと同時に、人とのつながりが途絶えてしまうからです。自分の場合は都内にいた時も、経営や起業の知識を学ぶ「群馬イノベーションスクール」(GIS、田中仁財団主宰)に参加していました。GISで群馬との縁が切れずにいたから、また戻って働こうと思えたのです。

自分たちは今、群馬と都内の学生をつなぐ新しいコミュニティーづくりを始めています。緩やかでもつながり続けることで、群馬に関心を持ってほしい―。県内でも社会人のためのコミュニティー「キャリコ大学」を開催しています。

フラットにゆるく、ぜひ気軽に参加してみてください。

都内の学生と群馬の若手経営者をつなげる交流会「東京キャリコ」
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