館林・ 佐藤さん一家 「暑いまち」 潤したい メニュー開発に 試行錯誤

メニューを考える佐藤さん夫妻。 お客さんのアドバイスも生かす

横浜から移り住み、自家焙煎のコーヒー専門店をオープンした佐藤雄一郎、早苗夫妻=館林市新宿。開店から1年余り、試行錯誤しながらメニューにも工夫を加えている。

「日本一の暑さ」で知られる館林市にあるコーヒー専門店「copicopi」。渇いた喉を潤すアイスコーヒーが人気で、今年から始めたアイスフロートも好調。店内では、雄一郎と早苗が顔を突き合わせてデザートメニューの相談をしていた。

「今年はひと味変えたいんだよね」。早苗が雄一郎に提案した。昨年、地元農家のお客さんから提案されてメニューに取り入れた「いちじくゼリー」。今月下旬から提供する予定だ。

2人にとって、イチジクといえばドライフルーツのイメージだった。早苗は「なじみのない果物だったのでお客さんのひと言がなければ、思い付かなかった。メニューの幅が広がった」と感謝している。

赤ワインを使って少し大人の味に仕上げたゼリーは夏にぴったりで、好評だった。今年もそのまま提供してもいいのだが、「お客さんにもっと楽しんでもらいたいし、作っている自分も何か変えた方が新鮮な気持ちでいられるから」とマイナーチェンジを考えているという。

店の売り上げは、長男の龍(3)を含む家族3人の生活に直結する。デザートメニューの試行錯誤はもちろん、店の売りである焙煎した豆の販売にも力を入れる。自宅で豆をひくというお客さんに少量プレゼントしたり、カフェスペースに生豆を展示したりとさまざまな工夫を凝らす。「この場所でずっとやっていきたいから」(雄一郎)。手間と努力は惜しまない。

店の経営で奮闘する日々の中で、休息の時間も大切にしている。時々お気に入りのお菓子を買ってきて2人で食べるのは、頑張った日のささやかなご褒美。そして、龍と一緒に過ごす休日は何にも代えがたい癒やしの時間だ。

開店から間もなかった昨年と比べ、少し心に余裕のできた今年の夏は「日本一の暑さ」を存分に味わうつもり。家族3人の思い出づくりの計画を立てている。

休日、地元で人気の近藤沼公園に出掛けた。小さな子どもでも安心して遊べる深さの「ジャブジャブ池」を龍も気に入った様子。早苗と一緒にしばらく遊ぶと、「パパも早く入ってよ」と靴を履いたままの雄一郎を笑顔で誘っていた。

(敬称略)