館林・ 佐藤さん一家 コーヒー店に 夫婦の笑顔 出産 お客さんも心待ち

夫婦で店のレイアウトを考える佐藤雄一郎さん(左)と早苗さん。 自然と笑みがこぼれる

温かい飲み物が冷えた体にうれしい季節。横浜市から移住、館林市新宿のコーヒー専門店「copicopi」を夫婦で営む佐藤早苗は、店内で夫の雄一郎がカフェオレを入れる様子を眺めていた。「しばらく私がお店に出ない間に、すごくレベルアップしてる。安心して任せられるね」

春に2人目の出産を控える早苗は、厚手の服を着ていてもおなかの膨らみが分かるようになった。昨年秋ごろは大事を取って休養していたが、最近になって少しずつ復帰。雄一郎は1人で店を切り盛りするうちに、焙煎(ばいせん)技術の高い早苗と並ぶくらいに腕を上げていた。喫茶だけでなく、店で豆を買って自宅でコーヒーを楽しむお客さんも増えたという。

「でもやっぱり(早苗が)店に顔を出してくれるとうれしいよね」と雄一郎。夫婦で肩を並べていると、食器を洗ったり、店のレイアウトを整えたりするだけで顔がほころぶ。

お客さんも久しぶりに早苗と顔を合わせると自然に声が弾む。「赤ちゃんは女の子かな。男の子かな」「おなか大きくなったね。楽しみだね」。たくさんの人が出産を心待ちにしているようだ。

横浜市で店を出していたころの早苗は、長男の龍(3)を身ごもり体調が優れない日でも無理をして店に出ていた。「こっちにきて少し気持ちに余裕を持てるようになった」。今回は仕事と休養のバランスをうまくとることができている。頼りになる先輩ママからの育児に関するアドバイスも心強いという。

今月で館林市での暮らしは丸2年。都会と比べて電車や店の数は少ないが、2人は龍と心置きなく遊べる公園や心安らぐ自然に囲まれた生活が気に入っている。見知らぬ土地で店を始めた自分たちの選択にも「後悔はない」と声をそろえる。

年越しは初めて家族3人で近所の寺に出かけ、除夜の鐘を突いた。龍は眠かったのか少し不機嫌だったが、それもいつかはいい思い出になるはず。

4人家族になったら、県内各地を巡りたいと考えている。早苗が「せっかく群馬県民なんだから、草津とか伊香保(温泉)に行ってみたいよね」と言えば、雄一郎も「高崎の駅前もにぎやかそう」。この場所で一つずつ経験を重ね、思い入れのある大切なふるさとにしていくつもりだ。

(敬称略)