藤岡市

緑を身近に感じられる藤岡市は、関越自動車道と上信越自動車道の結節点で、都心からのアクセスの良さが魅力。若い世代の移住により、アートを通じた地域おこしも活発になっている。開催中の緑化イベントでは市民協働による花壇が楽しめる。また、旧公立藤岡総合病院跡地に複合施設の建設を予定。市内のにぎわい創出や市民の利便性向上に期待が高まる。

アートが紡ぐ豊かな心

シロオニスタジオ代表 キール・ハーンさん
藤岡市地域おこし協力隊員 星野 潤さん

星野さんが所有する古民家で開かれた若手作家による制作展示=2020年11月
「自然と人々の温かさに魅了された」と話す星野さん(左)とキールさん

同市鬼石地区に移住したアメリカ出身のアーティスト、キール・ハーンさん(42)と前橋市出身の星野潤さん(39)。アートやワークショップを通じて地域交流を図る2人は、「豊かな自然と人々の温かさに魅了された」と口をそろえる。

15年ほど前に来日したキールさんは、陶芸修業で全国各地を巡る中で鬼石を訪問。同地で芸術活動をしていた画家の故堀越千秋さんとの親交が縁となり移住した。

「何か新しいことを始めようとすると、みんなが応援してくれる」と笑顔。海外のアーティストが滞在制作する「シロオニスタジオ」を開設した際も、周囲の後押しに助けられたという。

スタジオには毎年多くのアーティストが訪れ、伝統文化体験や鬼石夏祭りの参加などから着想を得ている。同地区のギャラリー「十一屋」で開かれる成果展示も恒例行事となった。こうした地域の国際化に尽力した功績から、今年2月、県国際交流賞を受賞した。

「人への興味が、アートへの興味につながる。これからもみんなと一緒に活動を続けたい」と前を見つめる。

キールさんの取り組みから、「多様性を受け入れる風土」に可能性を見いだして移住したのが星野さんだ。東京と京都でのシェアハウス運営、みそ造り教室に関わった経験を生かし、2019年に協力隊員に着任。自作の米こうじを使ったみそ造り教室や、地域の農産物を活用した特産品開発などを手掛けてきた。昨年には築70年ほどの古民家を買い取り、県内外のアーティストを招いて制作展示を行った。

いずれ古民家を民泊施設として活用し、地域の人を講師にきこりやぬか漬けといったワークショップを開くつもりだ。「鬼石ならではの魅力を発信し、移住促進を支援したい」と意気込んでいる。

旧公立藤岡総合病院跡地に複合施設 まちなかでも作品鑑賞を

旧公立藤岡総合病院跡地の整備後イメージ図

市の中心市街地にある旧公立藤岡総合病院跡地に、図書館や保健センターなどを含む複合施設の建設を計画している。

ギャラリー機能を備えた多目的ホールも整備する予定で、アーティストや市民には作品展示や多様な活動の場、来訪者にはアートと地域交流を身近に感じられる環境を提供する。無限の可能性を持つ子どもをはじめ、多くの市民の感性と個性を育み、明るく元気な郷土の実現に向けてまちづくりを進める。

多彩な花壇がお出迎え

昨年実施した「花と緑のぐんまづくり2020in藤岡」は、大型プレイベントなどを含め、約2年間にわたり地域や関係団体と協働で準備を行ってきたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うイベントの中止や延期、施設の閉鎖など、規模を縮小しての開催となった。

これまで培った市民の絆を持続的なものにしようと、「花と緑のぐんまづくり」の理念を継承した「ネクスト花と緑のぐんまづくりin藤岡」を市内各地で開催中。工夫を凝らした色とりどりの花壇が来場者を出迎える。

期間
4月11日(日)まで
会場
  • メーン会場:ふじの咲く丘(庚申山総合公園内)
  • サテライト会場:毛野国白石丘陵公園、鬼石中心市街地、道の駅ららん藤岡

絆を育てるまちづくり藤岡市長 新井雅博

昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響により、人との接触やさまざまな活動が制限される状況が続いています。そのような中、人との心のつながりや地域の支え合いの重要性が改めて認識されておりますが、本市では、かねてより市民の絆、地域の絆を醸成するまちづくりを進めてきました。また、本市は生活の拠点となる都市地域、のどかな田園地域、自然豊かな山間地域というさまざまな表情を併せ持っており、それらの特徴を生かした施策を推進しています。

このたびは、本市の特徴の一つである豊かな自然を感じていただける「ネクスト花と緑のぐんまづくり」と、心豊かな生活につながる地域のアート活動について紹介させていただきます。多くの方のご来訪を心よりお待ちしております。