沼田市

東京五輪・パラリンピック開幕まで4カ月余り。沼田市では4月1日に聖火リレーが行われ、夏にはドイツフェンシングチームが事前合宿を行う。2017年にホストタウンに登録されてから、多彩な交流事業を展開してきた沼田市。本番に向け、機運が高まっている。

 五輪へ機運   市民一丸 

小学校での特別授業や食事をしながらのドイツ語講座、沼田エフエム放送への出演、クリスマスマーケットといったイベントの開催、市民向けドイツツアーへの同行…。一昨年以降、沼田市が行ってきた交流事業は多岐にわたる。こうした事業のほとんどに関わっているのが、ドイツ出身の市国際交流員、クリスティーネ・バウアーさん。「『群馬で一番忙しい国際交流員じゃないか』と言われます」と笑顔を見せる。周りからは親しみを込めて「ティーネさん」と呼ばれている。

ティーネさんが市国際交流員に任用されたのは2018年8月。ドイツフェンシングチームの事前合宿に向けて、環境整備や機運を高めることが目的だ。市職員のアイデアを具体化したり、自身で企画を考えるなど、充実した日々を送っている。

料理が好きなことから企画したドイツ料理教室は好評で、これまでに約190人が参加した。今月から来月にかけては、ランチを食べながら簡単なドイツ語を学んでもらう「ティーネとランチ会」を開く。さらには、聖火リレーの「ミニセレブレーション」や事前合宿に合わせた交流イベントの準備など、やらなければならないことは、まだまだたくさんある。

「これまでやってきたことが、五輪・パラリンピックが終わった後も残ればいい。言葉が分からなくてもできるスポーツ交流などがいいですね」。ホストタウン事業が沼田に根付くことを願っている。

地域おこし協力隊  高津 修さん

田舎に住む夢かなえて満喫

「田舎に住むのが子どもの頃からの夢。沼田は景観が美しく、食べ物がおいしい」。昨年11月、地域おこし協力隊員を委嘱された東京都出身の高津修さんはこう話す。

バスツアーで初めて沼田を訪れたのは8年前。その時に見た田園風景が心に残った。2年後にたんばらラベンダーパークを再訪して以降、年2回は沼田に足を運ぶようになった。次第に愛着が増し、「年齢的に動ける今が移住にいいのでは」と思うように。妻の幸子さんに背中を押され、地域おこし協力隊に応募、採用された。

棚田を活用して定住を促す「薄根地域ふるさと創生推進協議会」の事務局をサポートしている。人を呼び込めるように講習会を開いたり、観光客が楽しめる食事メニューの開発などに取り組む。「まずは観光を楽しんで、沼田を好きになってほしい。移住者が増えるとうれしい」。念願の田舎暮らしを思い切り満喫するつもりだ。

利南運動公園

沼田公園の長期整備構想に基づき、園内の野球場とテニスコートを移転する。移転先となる利南運動公園には野球場、テニスコートのほか、ジョギング・ウオーキングコースや芝生広場の整備を進めている。野球場は高校野球や社会人野球県予選を開催できる規模・設備、テニスコートは8面で夜間照明を備える。4月のオープンを目指して準備を進めており、市民の健康増進、競技力向上などスポーツ拠点や憩いの場とするほか、スポーツイベントによる地域活性化を見込んでいる。

沼田城跡発掘

昨年冬、沼田市教委は沼田城跡の本丸の一部を発掘調査した。沼田城跡調査保存整備委員会などの指導を受けた初の学術調査で①真田氏が整備した沼田城で用いられた瓦が集中的に出土②真田氏が整備した沼田城の建物遺構と考えられる柱穴と溝を検出③本丸南部に深い堀が存在する可能性―などが分かった。建物遺構は「猿ケ京区所蔵絵図」などに描かれた「十人番所」の可能性があるものの、今回の調査では規模や配置などは分からなかった。

旧土岐家住宅洋館

旧土岐家住宅洋館は、沼田藩主など務めた土岐家末裔(まつえい)の土岐章子爵が、関東大震災後の1924年に東京・渋谷に転居する際、住宅の主要部分として建てた木造2階建てのドイツ風住宅。90年、土岐家より譲り受け沼田公園に移築、97年には国登録有形文化財(建造物)に登録された。沼田公園のシンボル的な存在として市民らに親しまれていたが、旧沼田貯蓄銀行や生方記念文庫などの隣接地へ移築。歴史文化の発信基地として、街なかの活性化を図る。

沼田市長 横山 公一

昨年は、長年の懸案であった庁舎等複合施設「テラス沼田」をオープンし、「安心・安全の拠点」「にぎわいの拠点」「市民活動の拠点」として、安全で適切な管理に努めています。

本年7月には、東京五輪・パラリンピックが開幕します。本市においても大会に向けた機運の醸成を図るとともに、聖火リレーやドイツフェンシングチームの事前合宿に向けて、ホストタウンとしての取り組みをさらに進めてまいります。