太田市

太田新聞特 報

高校生まで医療費無料 12市初 子育てに手厚い支援

子育て環境の充実を図るため、太田市は2021年度から、入院費と通院費の医療費無料化の対象を、高校3年生世代(18歳の年度末)まで拡大する。県内で入院費と通院費ともに無料にしているのは、榛東、上野、南牧、大泉の4町村のみで、12市では初めての取り組みとなる。さらには、第2子以降の中学生までの学校給食費の全額助成も始まる。子育て世帯への手厚い支援が、間もなくスタートする。

新たに医療費無料化となるのは、市内在住で、2003年4月2日~06年4月1日生まれの、4月から高校1~3年生になる世代の約6千人。年齢が基準を満たしていれば、高校に通っていなくても対象となる。所得制限もないが、婚姻歴があると対象外。市独自の助成制度のため、申請手続きが必要で、年間予算は、1億5千万円の増額を見込む。

申請後に、ピンク色の「福祉医療費受給資格者証」が自宅に届く。4月以降、医療機関に受給資格者証を提示することで、健康保険が適用される入院費と通院費の自己負担分が無料となる。

学校でのけがは災害共済給付制度、業務や通勤中のけがは労災保険が適用となるため、利用できないので注意が必要だ。

県は09年10月から、県内すべての中学3年生まで、入院費と通院費ともに無料にしてきた。

市民からは「無料化を高校生まで引き上げてほしい」との要望が上がっていた。実現に向けた契機となったのは、新型コロナウイルスの感染拡大だった。コロナ禍で、経済的に苦しい家庭が増え、医療機関に受診したくても受診できない子どもが出てしまう状況を防ごうと、無料化の対象年齢引き上げに踏み切った。

市立太田高2年の福島可恋さん(17)は「小さい頃、体が弱くてよく病院に通っていた。無料化の年齢がさらに広がるのはありがたい」と感謝する。市医療年金課の担当者は「保護者の負担軽減や子どもの健康向上につながってほしい」と力を込める。問い合わせは、同課(TEL:0276-47-1940)。

第2子以降全額を助成 学校給食費

新年度から太田市は、学校給食費の全額助成を、第3子から第2子以降に拡大する。市内在住で、2001年4月2日以降に生まれた子どもを2人以上養育し、市税等の滞納がないことが条件で、市内の幼稚園、保育園、小学校、中学校に通う子どもが対象。助成を受けるためには、毎年申請が必要となる。第2子のみ3億4500万円、第3子以降9千万円を充てる。

私立のぐんま国際アカデミーや給食がない太田中、県立特別支援学校、市外の学校に通う第2子以降に対しては、給食費相当額の小学生4万5千円、中学生5万5千円の市内加盟店で使える「太田市金券」を発行する。また、市外の保育園や幼稚園に通っている場合は、支払った給食費の実費を後から助成する。

13年から第3子以降の全額助成、17年から第2子の半額助成と、段階的に給食費助成の対象範囲を拡大してきた。問い合わせは、市教育委員会学校施設管理課(TEL:0276-20-7086)。

元気なまち おおた太田市長 清水聖義

今では全国的に“当たり前”になったことがたくさんある。

市役所の中の「こども課」。幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省という枠組みだから市役所も課が別になっていた。「子どもはみな子ども」、ならば一つにしよう、と全国に先駆けて「こども課」をつくった。新年度から、国の主導による「小中学校の少人数学級編成」がようやく始まる。太田市では6年も前から「30人程度学級」だ。子どもたちの学びを取りこぼしてはならないと、先生たちも“行き届く教育”に満足してくれている。

私たちが子どものころにはなかった言葉“猛暑日”が当たり前のようになってしまった。「エアコン」を全小中学校のクラスに設置した。「トイレの洋式化」も進めてきた。

時代は変化していく。変わらないのは「子どもはいつの時代も大切な宝物」ということだ。全国的にコロナで大変な家庭が増えている。子どもたちが元気なまちはお年寄りだって輝いている。こんな時だからこそ、大切なものを必死で守らなければならない。