渋川市

昭和30年代に誕生した近代こけし。中でも作家の一作品として制作されたものは「創作こけし」と呼ばれ、美術工芸品の地位を確立している。創作こけしの産地・渋川市は、その魅力と芸術性、創作技術をこれまで以上に高め、未来へつなげようと、作家らと手を取り合い、新たな取り組みを加速させている。

伝統的なこけし制作の技術を用いて、木目を生かしながら彫り込みや焼き込みなどの技術を駆使し、個性豊かな作品を生み出す。写真①は藤川正衛さんの「水輪」、写真②は青木蓼華さんの「暁の合掌」、写真③は加藤龍雄さんの「冰峯凍月」、写真④は沖いづみさんの「おしろい」。

多彩な表現に触れる場

渋川市と同市周辺で活動するこけし作家らでつくる「渋川こけし人形会」は、昨年7月に相互連携協力協定を結んだ。高齢化や後継者不足が進む創作こけし産業の継続と発展が目的だ。協定に基づき、創作こけし産業の担い手を目指す人を地域おこし協力隊として任命し、同会会員が育成する試みをスタート。東京都出身の大野雄哉さん(33)が、同会所属の現代の名工らの下で技術を学んでいる。

9月にはJR渋川駅前の渋川駅前プラザ=写真=2階に会員の作品を常設展示する「渋川創作こけしギャラリー」を開設した。展示作品を定期的に入れ替えて、市民や観光客が創作こけしを身近に感じられる場となっている。

同会の藤川正衛会長は「常設できる場があるのはありがたい。まずは創作こけしを知ってもらうことが大切。いろいろな表現を楽しんでほしい」と話している。

ギャラリーは午前9時から午後7時まで、無休(臨時休業あり)。入館無料。問い合わせは市商工振興課(0279・22・2596)へ。

動画で渋川の魅力発信

交流人口増加や移住促進につなげようと渋川市は動画「のぞいてみよう日本のへそ~今も昔も人も自然も渋川市~」を制作した。市公式ユーチューブサイトで配信しているほか、JR渋川駅観光案内所のモニターで放映。英語、中国語(簡体、繁体)版も制作してインバウンドにつなげる。リニューアルした市民会館と上三原田の歌舞伎舞台創建200年祭を取り上げた動画のほか、新年度には創作こけしを取り上げたPR動画を制作する。

常設ギャラリー  身近に感じて 

渋川市長  高木勉

渋川市は創作こけしの全国有数の産地で、住民はそれを誇りに思っている。それぞれの作品から作家の思いや人間性、感性が感じられる。日本のきめ細やかさを表現しており、外国人にも人気。日本の文化を伝える役割を果たしている。

そんな創作こけしを常設展示する場がほしいとの声があり、ギャラリーを開設した。作品鑑賞や絵付け体験などを通して身近に感じてもらい、地域に根付かせ、後継者育成につなげたい。

 ギャラリーには常時30点程度の作品が並ぶ