
一日ごと
交わり深く
地域参加
風土に順応
朝晩の冷えた空気が季節の変化を感じさせる。過ごしやすい時季、移住した4家族はスポーツや芸術、農産物を生かした取り組みなどで地域との交流を満喫している。県北の山間部では一足早く冬支度が始まった。


連日のイベント
伊勢崎市日乃出町で弁当とハンバーガー店「KMT」を営む日系ブラジル人2世のキシモト・ケイフク(52)、トシコ(63)夫妻にとって、イベント盛りだくさんの秋がやってきた。
長男のケイフクジュニア(30)の次男、ケイスケ(5)と、長女のアキミ(28)の次男、ヒロユキ(5)と長女、ユメ(1)が通う保育園の運動会には総勢12人で駆け付け声援を送った。アキミの長男、タカユキ(7)も小学校の運動会を終え「大玉運びが楽しかった」とはにかむ。21日には「市民交流まつり」に初出店と多忙な日々が続く。
薪割って冬仕度
豪雪で知られるみなかみ町藤原に、冬支度の季節がやってきた。風に舞い散っていく葉を横目に、厳しい冬に備えて薪を割る北山郁人(44)の姿があった。みなかみに移住する以前から薪ストーブを愛用してきた。手伝いで丸太や割れた薪を積む長男、桂月(13)も手慣れた様子だ。
独特の暖かさという魅力とともに、周囲の木々を有効活用する目的もある。郁人は「東日本大震災の時は藤原周辺も石油がストップしかけた。燃料がなくならない安心感もある」と明かした。筋肉痛と闘いながら、斧(おの)を振り下ろす。


家族総出で収穫
「これ大きいねえ。こっちは小さいからいいや」。渋川市赤城町、赤城山西麓の畑に元気な声が響く。声の主は無農薬・化学肥料不使用で野菜栽培する堀井一平(39)の長女、麦音(3)。妻の裕紀(36)がほほ笑む中、掘り出したばかりのサツマイモを持ち上げる。思わず笑みがこぼれた。
不順な天候に悩まされた夏だった。影響で秋野菜の収穫と出荷が、1週間ほど遅れている。だが、自然相手の仕事に「そんなに珍しいことじゃない」と気にするそぶりはない。秋野菜のシーズン、家族総出の農作業は、まだしばらく続く。
カフェに作品展示
藤岡市鬼石でギャラリーカフェを営む渡辺嘉幸(49)、彩英子(39)夫妻に実りの秋がやってきた。週末営業のカフェ「カタチ」で、夫婦の個性を生かした空間づくりに励みながら、地域との関わりを深めている。都内で10年以上、ギャラリーカフェを営んできた嘉幸は、地元産品を生かしたメニュー開発に取り組む。
美術家の彩英子は9月下旬、国内外の芸術家が参加した「かんな秋のアート祭り」に出品。作品をカフェの床の間に飾るなど、内装にもこだわる。地域に支えられる2人は「少しでも地域貢献したい」と話す。
(敬称略)