伊勢崎・ キシモトさん 新しい味の土産 期待 長女家族 一時ブラジルに

仕事の合間に家族とだんらんするトシコさん(右から2人目)

冷たい空っ風が吹く冬の伊勢崎市。雪はめったに降らないものの、ここに来て寒さの厳しい日が増えた。一方、弁当店とハンバーガー店「KMT」(同市日乃出町)を営むキシモト・ケイフク(53)、トシコ(64)夫妻の母国、ブラジルは今、夏真っ盛り。長女のアキミ(28)と夫のチアゴ(30)、3人の子どもたちは現在、一時帰国している。

「向こうは暑いから、海に行ったり、魚釣りを楽しんだりしていると思う」。地球の反対側にいる家族にケイフクたちは思いをはせる。

同国南東部に住むチアゴの両親に、孫たちの顔を見せるのが目的。アキミの長男、タカユキ(8)は2歳の頃に行ったことがあるが、次男のヒロユキ(5)と長女のユメ(1)は初めて。なかなか会えない祖父母やいとこと存分に過ごせるよう、12月から3月まで滞在する予定という。

「子どもや孫たちが近くにいるけれど、同じ家に住んでいるアキミたちがいないのはやっぱり寂しい」とトシコ。日本に戻ってくる日が今から待ち遠しくて仕方がない。

普段休みなく働いている分、年末年始は自宅でのんびりと過ごした。大みそかは長男のケイフクジュニア(30)や次女のアキナ(28)の家族と一緒にごちそうを囲んだ。アキナは「新年を迎える瞬間にシャンパンを開けて祝った」とほほ笑む。

一昨年にユメ、昨年はアキナの長女、リミが生まれ、今年も家族が増える予定だ。ケイフクジュニアの妻、エリカ(31)は第3子を妊娠中。平成から新しい元号に変わる頃が予定日で、長男のケイイチ(9)、次男のケイスケ(5)はきょうだいの誕生を心待ちにしている。

ハンバーガー店を始めて2月で1年になる。地元の人にも来てほしいとの思いから日本語のメニューを用意したものの、「日本人はぼちぼち」。同郷の人が客の中心だが、うれしい出来事もあった。

昨年10月に市のイベントに初出店。「食べておいしかったからと、わざわざ店を探して来てくれた人がいた。参加して良かった」とトシコは喜ぶ。「アキミが戻ったら新しいメニューも考えたい。ブラジルで新しい味を持って帰ってきてくれると思う」

1999年に来日して20年。今年も家族で支え合っていくつもりだ。

(敬称略)