
伊勢崎・
キシモトさん
市民まつりに
初出店
「ブラジル料理で交流を」

「これはパステル。生地の間にひき肉が入っているの。こっちはコシーニャ。両方ともブラジルではポピュラーな食べ物ね」
日系ブラジル人のキシモト・ケイフク(52)、トシコ(63)夫妻が営むハンバーガー店「KMT」(伊勢崎市日乃出町)。厨房(ちゅうぼう)のフライヤーでトシコが揚げているのは店で人気のサイドメニュー。21日に市内で開かれる市民交流まつりでも販売する予定だ。
まつりは市などが主催し今年で13回目。毎年およそ1万人が来場している。会場の波志江沼環境ふれあい公園では物産展や芸能発表など多彩なイベントが予定され、その中の一つ「世界の料理・屋台村」への出店を打診された。
「たくさんの人が集まる。店を知ってもらういい機会」。過去に県外の国際交流イベントに参加したことがあり、伊勢崎でも出てみたいとケイフクたちは考えていた。店を手伝う長女のアキミ(28)とも相談し、初出店することにした。
販売するのはパステル、コシーニャ、ボリーニョ・デ・カルネの揚げ物3種類とガラナジュース。日本ではなじみが薄いため、料理の説明を書いた紙を飾るという。コシーニャは「ブラジル風鶏肉コロッケ」。すりつぶしたジャガイモに小麦粉を混ぜて固めるため、日本の一般的なコロッケよりもっちりとした食感。当日は店で下ごしらえし、会場で揚げたてを提供するつもりだ。
屋台村には市内で営業するタイ、ベトナム、ネパール、パラグアイ、ペルーの飲食店も出店する。「他の国の人とも交流したい」とトシコ。アキミは「いろいろな国の料理を食べたい」と興味津々だ。
5月に長女のリミを出産した次女のタカノ・アキナ(28)は今月から店に復帰した。来年4月にリミを保育園に預ける予定だが、それまでは店に連れてきている。家族や常連客に囲まれて、すくすくと成長している。
乳児から小学生まで6人の小さな子どもがいるキシモト家にとって、地域の安全や教育に対する関心は人一倍高い。7日はブラジル大統領選の在外投票所が設けられた大泉町に皆で出掛け、一票を投じてきた。
3人の子を持つアキミは「新大統領にはもっと安全な国にしてほしい。学校に行けない子どももたくさんいる」と話す。母国でも自分たちが暮らす日本と同じように教育が行き届いてほしいと願っている。
(敬称略)