
地域に
新たな活力
豊かな自然
人を呼ぶ
春夏秋冬、季節ごとにさまざまに変化する豊かな自然や雰囲気に魅了され、群馬に新天地を求めた人たちがいる。人口減が叫ばれる中、地域の新たな活力となる存在だ。縁あって群馬に「呼ばれた」4家族の四季を追う。


野菜生産 軌道に
目の前に広がる畑。榛名や妙義、はるか遠くには雪をかぶった八ケ岳連峰まで見渡せる。横浜市出身の堀井一平(39)が、赤城山西麓の渋川市赤城町溝呂木に移り住んで7年目の春を迎えた。古民家を借り、周辺の畑で数十種類の野菜を生産。消費者への直接販売などが軌道に乗りつつある。
妻の裕紀(36)、長女の麦音(むぎね)(2)との3人での暮らしが今年、大きく変わった。横浜での仕事を辞めた両親が、目の前に住宅を新築、新しい生活を始めた。完成間もない、木の香りが漂うリビングに5人の明るい笑い声が響く。
仲間集まるカフェ
国内外の芸術家が数週間滞在し創作活動に励む「アートレジデンシー」が定着している藤岡市鬼石地区。この雰囲気を気に入り、渡辺嘉幸(48)、彩英子(さえこ)(38)夫妻は昨年2月に都内から移住した。今年2月、30年以上空き家だった古民家を改修し、ギャラリーカフェをオープンした。
アジサイが自生する緑豊かな場所にあり「お茶を飲みながら気軽におしゃべりする」がコンセプトという。美術批評が専門の嘉幸と、美術家として創作活動する彩英子。店にはバイオリン職人や大工などさまざまな仲間がやって来る。


孫の誕生心待ち
日曜の午後、伊勢崎市日乃出町にある弁当とハンバーガー店「KMT」で、店主のキシモト・ケイフク(52)、トシコ(63)夫妻が家族とだんらんしていた。話題の中心は間もなく生まれる新たな家族の話。夫妻には6人目の孫になる。
日系2世の2人が子ども3人とブラジルから来日したのは1999年。当初は会社勤めだったが、2年前にブラジル料理の弁当店を開店。今年2月には隣でハンバーガー店も始めた。ブラジル人の客がほとんどだが、店を手伝う長女のアキミ(27)が日本語メニューの準備も進めている。
国内外の窓口
例年より早い雪解けで、新緑の季節を迎えようとしているみなかみ町藤原。名古屋市出身で東京からやって来た北山郁人(43)は2009年に家族で拠点を移し、国内外から林間学校や自然体験受け入れの窓口を務めている。
スキーをする妻の路加(みちか)(46)のため「雪があるところがいい」と、雪深い地域を候補に挙げたが、最終的にみなかみを選んだ理由は「一年中いろんなことができるから」。スキーシーズン後も、民泊を楽しみにした客足は絶えず、年間を通じて魅力ある表情を見せる自然をPRしている。
(敬称略)