板倉町
上毛かるた「鶴舞う形の群馬県」で、鶴のくちばし部分に当たる板倉町。南に利根川、北に渡良瀬川、東には広大な渡良瀬遊水地が広がる。
近年、全国的な自然災害への懸念高まりを受け、町は独自の防災対策を打ち出し住民に安全安心な暮らしを提供するとともに、若い子育て世代の支援や産業振興によって、人口減少に歯止めをかけようと全力を挙げる。
防災拠点の新庁舎 栗原実町長に聞く
新たなまちづくり
群馬県が開発する住宅団地「板倉ニュータウン」=写真=は、分譲規模を当初販売目標の3400戸から約1400戸に縮小する一方、北側の一部を産業用地に用途変更し、東武日光線駅を中心に東洋大学、住宅、産業が調和した新しいまちづくりが進む。
宅地販売は分譲価格を大幅に値下げし、坪10万円台を中心に最も安い区画では7万円台からを設定。町は東京まで電車で約60分という利便性や閑静な住環境をPRしている。産業用地の販売では、これまでに食料品製造、物流など14社が進出。東北自動車道ICまでの近さ、工業用水の豊かさなどから、引き合いも多く順調な企業立地が進んでいる。
給食費を無料化
町は2017年度から町内の4小学校と中学1校の給食費を無料化した。対象は約1100人で年間予算は約5500万円。
板倉西小学校に長男(5年生)と次男(2年生)が通う田口千絵美さん(39)=板倉=は「2人の給食費が無料で助かる。年少の長女もいるので3人の給食費が無料となれば、その分他の教育費に充てられる」と話す。
板倉中学校に長男(1年生)と板倉南小学校に次男(4年生)がいる保科恵子さん(40)=大高嶋=は「館林市内で働いているが、職場の人に給食費が無料と話すと驚かれる。4月からは長女が新入学なので経済的にもありがたい」と無料化の恩恵を喜ぶ。
防災情報 ラジオで
台風や豪雨による水害の発生に備え板倉町は、住民に防災情報を的確に伝えるため、町内全戸に防災ラジオ=写真=の無料貸与を始めた。
県内自治体の多くが導入する防災行政無線は、荒天時には風雨で音声が遮られ、屋内の住民に情報が伝わりにくい欠点がある。防災ラジオはポケベルの電波を利用することで、建物内の受信にも適していて、防災情報を確実に住民に伝えられるようになる。県内自治体初の取り組みで、防災の拠点として生まれ変わった町新庁舎とともに、町民の安全安心向上が期待される。