神流町

群馬県南西部、西上州の山々と清流に囲まれた神流町。自然の恵みや、代々受け継がれてきた地域資源を活用し、人口減少や高齢化に立ち向かう。新たな特産品づくりや林業振興と雇用拡大を兼ねたプロジェクトが着実に進展。新たな町の未来が見えてきた。

地域の宝 フル活用

活性化プロジェクトが 同時進行

神流町長 田村 利男

美しい山と川、豊かな森林、農産物、古民家など、町にあるものを生かし、伸ばしていきます。そうすることで、雇用創出や産業活性化、観光振興を図り、定住する人を増やすとともに、交流人口の増加につなげることが目標。いくつかのプロジェクトが同時進行しています。

林業再生プロジェクトはその一つ。先輩方が苦労して植え、育ててきたスギが町内にはたくさんあります。そのスギを生かすために森林組合などと連携して、搬出コストの削減など、採算性を高め、少しでも多く森林所有者に還元できるよう努めるとともに、新たな雇用を生み出したいと考えています。

農産物利用では、町内で収穫したジャガイモを使った焼酎「神流」が完成しました。女性に好まれるようなすっきりとした味わいが特徴で、東京でも売りたいと思っています。新年度は町で古くから作られてきた「あわばた大豆」を原料とした豆腐作りを始めます。焼酎と同じように、神流町のブランド商品に育てていくつもりです。

古民家も町の大切な資産です。昨年6月、築130年の養蚕農家を改修して宿泊施設「川の音」をオープンさせました。ゆったりくつろげるだけでなく、田舎暮らしを体験できる場として好評です。

神流町で忘れてならないのが恐竜。恐竜センターとはこだたみキャンプ場をリニューアルして、施設の充実とさらなる魅力づくりを目指し、5月1日にオープンします。

ジャガイモの焼酎

焼酎「神流」は1年かけて開発した新たな特産品で、アルコール度数25度の乙類ジャガイモ焼酎。神流町のブランドとして、存在感のあるラベルと光沢のないフロスト加工の瓶で高級感を演出した。町内の小売店や都内で販売する。

原料の「インカのめざめ」は、黄色みが強く、クリのような甘さが特徴。町内でも標高の高い畑でないと品質は確保できないが、耕作放棄地などを使って量を確保するとともに、その加工に農林水産省の補助金を活用して、すっきりした味わいの焼酎に仕上げた。

拠点整備が本格化

森林資源を生かした産業振興と雇用拡大を目指す「神流町林業再生プロジェクト」。3年目に入る新年度は、木材の集荷拠点やチップ加工拠点の整備が本格化する。

伐採に適したスギの人工林は豊富だが、林業の担い手が少ないのが現状だ。プロジェクトは、森林整備と木材の安定供給を推進するとともに、木材チップ製造などで雇用を創出、定住を促す。また、二酸化炭素の排出抑制への取り組みとして、木質バイオマス発電等によるエネルギーの地域循環など、その可能性についても検討していく。2017年7月に「神流町林業再生プロジェクト協議会」が発足。移住イベントや人材発掘、情報通信技術の活用、森林療法などを検討してきた。

夏には離れ完成

昨年6月にオープンした「古民家の宿川の音」は、地方創生拠点整備交付金を活用して、築130年の養蚕農家を改修した宿泊施設だ。昔話に登場するようなたたずまいの民家と、神流川や周辺の山々を渡る風が、心地よい空間を作り出す。

2階には和モダンを意識した客室が4部屋。土間とかまどのある1階では、みそや豆腐作り、そば打ちなど、山里の文化を体験できる。現在、離れを建設中。夏にはより静かに、ゆったりと過ごせる空間が生まれる予定だ。