館林市

城沼や多々良沼の豊かな自然環境が育む多様な動植物、町じゅうをいろどる満開のつつじ、徳川家ゆかりの城下町、偉大な文豪に宇宙飛行士・・・

最近ではアニメの聖地にも選ばれた魅力あふれる館林市。

そんな館林市で「健康寿命の延伸」をキーワードにしたまちづくりが本格的に動き出す。

健康寿命延伸 プラットフォーム 始動

健康寿命の延伸を目指す須藤和臣市長(写真左)と医学博士の白澤卓二さん

誰もが心身ともに健康でいきいきと暮らせるまちづくりを目指し、館林市は昨年、「健康寿命延伸プラットフォーム」を設置した。「健康への取り組みを市民の文化として根づかせる」という方針のもと、産学官から委員が集まり、健康をめぐる課題について幅広く調査・研究を続けている。プラットフォームの会長を務める須藤和臣市長と、特別アドバイザーで介護付き有料老人ホーム「レジデンス・オブ・ホープ館林」代表の医学博士、白澤卓二さんが健康づくりについて語り合った。

「元気年齢」は最下位

須藤
県が2010年のデータをもとに公表した65歳から何年間、健康でいられるかを示す「元気年齢」というバロメーターをみると、館林市は県内19市郡の中で最下位でした。それを踏まえて健康寿命延伸プラットフォームを設置したわけですが、特別アドバイザーとしてこれまでの議論をどうとらえていらっしゃいますか。
白澤
館林の特徴として野菜を食べる量が少ないとか、いろいろなことが分かってきました。私が調査している長野県とはかなり違う。それが健康寿命と関係しているかもしれないですね。うちのレジデンスの入所者をみても、館林の女性はみんなで仲良く食事を楽しむのに対し、男性は壁に向かって無口で食べる人が多いんです。生きがいを尋ねても「ない」という答えがかえってくる。これでは長生きしづらいと感じました。
須藤
いろいろと取りくむべき課題が見えてきますね。食習慣だけでなく、生きがい、社会とのつながりなど、これらは、幸福度の指標にもなります。
白澤
最近は人生100年時代と言われるようになってきました。100歳まで生きるとなると4世代です。館林には4世代全員がここで育ったという人が多いんですが、文化を伝承するには、例えばおばあちゃんが何を食べていたとか、縦のつながりを重視する必要があります。100年、ここに生きたというメンタルと社会のつながり、歴史の中の位置づけを市民が自覚することはとても大切なことですよね。

シビックプライドの提唱

須藤
健康のためのよい習慣を文化へと浸透させるのも、また個々が幸福度の高い人生を送るためにも、縦のつながりが要になるんですね。話は変わりますが、館林にはリノベーションによるカフェができはじめ、新しい文化が育ってきています。
白澤
レジデンスの近くにも倉庫を改装したカフェができ、にぎわっています。東京の六本木のような感じで、別世界の雰囲気ですね。
須藤
私は都市に対する市民の誇りを意味する「シビックプライド」を提唱していますが、魅力ある「場」ができることによって郷土愛は高まっていきます。沼の多い館林には沼辺の文化が息づいているのだから、そこに歩幅や姿勢を考えて歩く道を整備して健康増進を図るウオーキングモデル都市の構想を掲げても面白いと思っています。
白澤
カフェという場をつくると、30代、40代の意識レベルが高い人たちが集まって来る。そうした場からウオーキングを広げていってもいいですね。

幸福度の高いまちづくり

須藤
健康づくりでは、館林には食品産業が多く腸内環境を整える薬剤を作る会社もあります。
白澤
一つのアプローチとして館林独自の発酵文化をつくって発信する手があると思います。暑い館林には、ここならではの発酵があるはず。それを発掘してブランディングしていければ戦略として分かりやすいでしょう。
須藤
館林には沼辺の文化、しょうゆをはじめとした発酵食品の文化があり、人と人の絆も強い。健康寿命の延伸、プラス生涯現役のまちづくりという政策目標のゴールは、一人一人の幸福度の高いまちづくりです。Iターン、Uターンの方々をはじめ、多くの人々が館林のまちづくりの主役として参画してくださることを願っています。
昨年4月に開催された市民歩け歩け大会の写真。地域ゆかりの名所や自然に触れるコースをウオーキングしながら、健康づくりに取り組もうというもので、参加者は菜の花が咲く渡良瀬川の土手沿いを巡り、約10Kmの道のりを元気よく歩いた。