邑楽町
1968(昭和43)年、合併により邑楽町が誕生して、ことし50周年を迎えた。標高25メートルの平坦地を数多くの平地林が彩り、毎年、白鳥が飛来する多々良沼公園のある自然豊かな町。米麦やそば、特産の白菜などを生産する農業、自動車部品や機械を製造する工業団地など、農工商が一体となって発展してきた。10月20日、9月に開館した町民待望の中央公民館ホールで記念式典を開いた。
夢あふれる まちへ
の団員が公演用の衣装で中央公民館前に集合した
金子正一町長に聞く
- ―町職員から町議、町長として町づくりに取り組み、50周年を迎えました。
- 健康で安心して暮らせる「福祉」と、生涯学ぶ楽しさをもち続けられる「教育・文化」の二つを大切にする町を目指してきました。農業・工業・商業が調和して発展し、豊かな自然の中で暮らす町民の皆さんは、転入してきた人も温かく迎え入れています。
産み育てやすい環境を
- ―2010年を境に町の人口は減少に転じました。少子高齢化対策は。
- 子供の医療・教育費の負担軽減に加え、不妊・不育治療や産後ケアにも力を入れ「産み育てやすい環境」整備を推進しています。高齢者が健康で元気に暮らせるように町民が主体となって心配事を出し合い、解決していく「
邑助 けネットワーク」を17年2月に立ち上げました。行政と町民が共に考え、気づき、成長していく協働の町づくりを進めていきたいと思います。
教育・文化活動高める
- ―次の50年へ、思い描く町の姿は。
- 町民の要望にお応えし、485席のホールを備えた中央公民館が完成、先月開館しました。音楽・ダンス・演劇を柱に開館事業に取り組み、新たに町民吹奏楽団や劇団が誕生、ダンスバトル大会も開かれ、さらに活気が生まれたことをうれしく思っています。教育・文化活動を高め、町民の皆さんが「笑顔で明日も頑張ろう」と思える「やさしさと活気の調和した夢あふれるまち」づくりを力強く進めていきたいと思います。
音楽の町 全国に発信
長崎県南島原市出身の陣川雄一さん(33)は武蔵野音大の同級生で妻の悠布さん(33)の古里、邑楽町に3年前に移住した。幼稚園の事務職員として働く傍ら、2年前にできた町民吹奏楽団の指導に当たっている。
楽団発足時は、中学から演奏してきたチューバ奏者として参加。陣川さんは「前職のヤマハで楽器を作りながらヤマハ吹奏楽団の楽団員も兼ねていたので、町の楽団に出合えて本当に良かった」とほほ笑む。小学4年生から代まで幅広い世代の人が集う楽団で、今は指揮棒を振る。
陣川さんは「東京にも近く子育てしやすい町。中規模ホールの独自性を大切に中高校生など若い世代が活発に利用することで音楽のある町・邑楽を皆でつくり、全国に発信していきたい」と期待を込めて話した。
生きがいある 人生に
中学生からシニアまで16人が活動する「邑楽町民劇団(仮)」は昨春、結成された。代表の小林正子さん(65)は劇団「青年団」の所属俳優で同町出身、大竹直さんのワークショップに参加し、入団した。「劇団名の(仮)は間違いではなく、さらに進化し続けるために名付けた」と説明する小林さんは「60歳で介護ヘルパーの資格を取って今も働いている。5年ごとに新たな挑戦をしていこうと考えて脳トレーニングのつもりで始めた」と明るく笑う。
演じるだけでなく、裏方の衣装作りも楽しむ小林さんは「町には多彩な団体があり、生涯学習が盛ん。仕事や子育ては大変だけど、若い人たちにどんどん参加してほしい。子供が巣立った後も、生きがいをもって暮らしましょう」と参加を呼び掛けている。
ダンスで町に 元気を
遠藤一樹さん(31)は西邑楽高校でダンスに出合い、東京の専門学校で磨きをかけて帰郷した。ダンススタジオを始めた2年前、中央公民館事業のダンス部門に指導者として招かれ、ダンスバトルイベント「
穏やかな町の人たちには、子供たちが頑張っていることを「応援しよう」という温かな気風があると遠藤さんは胸を張り「子供たちを中心に幅広い世代が、中央公民館を思いきり使っていろいろな経験ができるイベントをやってみたい」と夢をふくらまている。