地域の資源 最大限に

神流町

群馬県南西部、清流・神流川沿いの山あいに位置する神流町は、2003年、万場町と中里村が合併して誕生した。人口減少と高齢化が進行する中、町では交流人口や雇用の増加を目指し、地域資源を生かした積極果敢な事業展開を行い、注目を集めている。

特産品づくりに 注力

古民家宿を 起爆剤に

合併時に約3千人だった人口は、現在は1800人へと減少し、高齢化率は50%を超え、県内第2位となっています。神流町の財産である豊かな自然を生かし、交流人口増や観光振興、特産品づくりなど、生き残りをかけた事業に次々に着手しているところです。

その一つが、5月16日にオープン予定の古民家宿「川の音」。地方創生拠点整備交付金を利用し、麻生地区にあった築120年の旧養蚕農家を宿泊施設に改修。町が出資する神流振興合同会社が経営を行います。

川遊びができる神流川や山々が目の前に迫り、ロケーションは最高。館内には囲炉裏を造り、神流川でとれる川魚をはじめとする地元食材を用いた料理を提供する予定です。部屋数は4部屋に絞り、ゆったりとくつろげる空間とし、今後、さらに敷地内に離れを2棟つくります。

恐竜センターや「神流の涼」「鯉のぼり祭り」など、神流町を訪れた人たちの宿泊拠点とするほか、農業収穫体験ができる場ともしたい。本庄早稲田駅からの送迎も予定。すでに、今月下旬から予約も受け付けています。

神流町長 田村 利男

ジャガイモで 焼酎づくり

地域資源を利用する特産品づくりも急務だと考えています。

神流町の自然環境が栽培に適していると考え、数年前から標高600メートル以上の高地で栽培されるジャガイモ「インカのめざめ」の試行栽培を行ってきました。これを原料に、今年はいよいよ焼酎づくりに着手し、販売をスタートします。

甘みが特色の地域在来種「あわばた大豆」を素材にした味噌「奥多野みそ」を既に開発・発売し、現在は豆腐も開発中です。さらに蜂屋柿を用いた柿酢の開発も進めています。 

従来、ジャガイモや大豆、蜂屋柿などはほとんど自家消費が中心でした。6次産業化で付加価値を付け、道の駅「万葉の里」のほかに都内でも販売ルートを開拓したい。

一方、町に森林資源は豊富だが、林業は衰退してしまっています。町は城山の山林7万7千平方メートルを取得。杉を原料とする木質チップ生産、バイオマス発電などを行い林業の再生を図るとともに、広葉樹林への転換を図り、遊歩道を整備して自然公園化を図る構想を立てています。

無農薬ユズを 活用

町内には昭和30年代に植林されたユズの木が多くあるが、現在、全く出荷されていない。これらのユズを素材に商品開発を行っているのが、奥多野ファーム。神流町産業振興支援補助金を利用して、民家を改造した加工場・農産物集荷所を整備し、ユズのスプレッド(パンなどに塗るペースト)「YUZUCURD(ユズカード)」=写真=を開発。来月から道の駅「万葉の里」などで販売する予定だ。「無農薬ですから、実はもちろん皮や種など丸ごと利用しています」と同ファームの町田源治代表は語る。同ファームでは、ユズの化粧水も開発中だ。

「あわばた大豆」 気軽に

役場近くの「まるはちカフェ」は、神流町産業振興支援補助金を利用して雑貨店の一角をおしゃれなカフェに改装したお店。神流町唯一のカフェと言っても良く、昨年3月末のオープン以来観光客はもちろん地域の人からも親しまれるスポットとなっている。

あわばた大豆を用いたきなことたまり醤油のジェラートや梅ジュースなど地元の特産品を素材にした旬のメニューを開発し、好評を博している。店主の黒澤綾香さん=写真=は「特産品を気軽に味わえるカフェです」と話す。