上野村
県の南西に位置する上野村は、早くから移住定住対策に積極的に取り組み、住民の26%は村外からの移住者だ。総面積の95%を占める緑濃い森林が生む空気は澄みわたり、神流川はどこまでも清らか。大自然の気みなぎる桃源郷の山里「上野村」では森の恵みを生かした木工芸品が作られる。森林資源を活用した産業を振興し、さらなる定住対策を図る。
- 村が産業を興し、雇用の場を創出
- 村営住宅など、移住定住者の住環境を整備
- 移住者の生活を支援するため生活補給金を支給
- 住宅取得等に対する借入金利子の補給制度や税負担軽減のための住宅取得応援金制度
- 高校生や大学生等に奨学金を貸与(自宅通学は月額1万5千円、自宅通学以外は月額5万円)村に戻ると返済免除
- 0歳から18歳まで医療費無料
- 1歳に達した時に1子につき誕生祝金3万円
- 保育園、小中学校の給食費無料
- 保育料は無料~月額2千円(1歳半~2歳児は月額無料~5千円)
- 小中学校の入学時に1子につき3万円の祝金
- 第3子以降に養育手当(月額1万円)、特別養育手当(月額5万円・所得制限有)
何でも話せる “場”に 野球チーム「原住民」代表・ 黒沢弘さん(47)
村内唯一のクラブチーム「原住民」を10年前の春に立ち上げた。現在所属する20人の平均年齢は30代後半、毎週木曜の午後7時に集まり、2時間ほど爽やかな汗を流す。「終わりの30分でもいいから顔を見せてよ」とメンバーに声を掛けている。
ほぼ全員が県内外からの移住者。「仕事ばかりの人生じゃつまらない。好きな野球を楽しめてみんながワイワイ集まれる。何でも話せる“場”をつくりたいと思ったら、賛同してくれる人がいて勢いでつくれたんですよ」と謙遜する。「今は移住した人たちが、村の行事や地区の役員、消防団の主力になっている。みんな上野村の原住民だよ」という思いをチーム名に込めた。「皆が打ち解けることが、村の元気につながっていく」と明るい未来を思い描いている。
田舎暮らしを満喫 ゆーぱる上野・木村沙織さん(24) 江原春菜さん(22)
伊勢崎市出身の木村沙織さんと高崎市出身の江原春菜さんは、上野村が農業振興や景観美化事業などを目的に設立した合同会社「ゆーぱる上野」に今春就職した。観光シーズンや休日は、森の中に作られたアスレチック施設「フォレストアドベンチャー・上野」で働き、オフシーズンや平日はミニトマトやネギ栽培など農業に従事する。
就職するまで2人とも村を訪れたことがなかった。木村さんは「星空が好きで田舎暮らしに憧れていた」、江原さんは「自然が好きで仕事をしながら上野村で暮らせるなら」と就職を決めた。村営住宅で一人暮らしをしながら豊かな自然の中で田舎ライフを楽しんでいる。
江原さんは「外から来た私たちを温かく迎えてくれた。村の人はいい人ばかり」と笑顔をみせる。木村さんは「私たちが頑張ることで村の振興につながる。観光客や移住者が増えてくれれば」と期待する。